トランスフォーマー:LEGACY バルクヘッド(Prime Universe Bulkhead)
トランスフォーマー『LEGACY』より
- LEGACY始動
- LEGACY:Wave1 ヴォイジャークラス「プライムユニバース バルクヘッド」
- ただ、箱、お前だけは許さん
- プライムユニバース バルクヘッド ロボットモード
- プライムユニバース バルクヘッド ビークルモード
- 主にレガシー版アーシーの不安
LEGACY始動
KINGDOMの変則的な限定ラッシュも終了と相成り、遂に3年に及ぶWFCラインが終焉を迎えた。
最後の方はとにかく既存型をリカラーやリデコで擦りに擦りまくった最後っ屁の連続で、もうこく屁もないぜ…と云った様相ではあったが、しかしながら、なんだかんだWFCトリロジーを総括するのであれば、サイズスケールや統一された可動レギュレーション等、ここ10年の中で最も整理され、且つ可動・造形も優秀なシリーズであったことに異論はないかと思う。
というか、このWFC前まではこれと云ったルールもなく、キャラのサイズスケールなんてなんのその、出したいもんを出したいサイズで出すぜ!ライバルとのサイズ比?知るかよ!!ていうか、仲間とかライバルとか別に一緒には出さねーよ!あと、接地性なんてくそくらえだぜ!シールベタベター!みたいなケイオスの中でのリリースが続いていた時代があったのかと、信じられないくらいだ。
それくらい、TF玩具はこの3年間で洗練されたと感じている。明らかな進化がそこにはあり、今後もそれらを踏襲したシリーズが続くことを切に願うばかりだ。
何度でも言うが、今回のWFCラインの1個前のラインで発売されたスタースクリーム。これ、サイバーバースとかそういう低年齢層へアプローチするようなラインではなく、普通にジェネレーションズで売っていたんだぜ…。しかもボイジャーで。
※もちろんコンバイナーである云々はあるのだが、それを差し置いてたとしても。この後のWFCラインの展開がどれだけ我々に衝撃を与えたかは、言わずもがなである。
そんな明らかなブレイクスルーが一段落し、新たなラインが始動する。WFCのポストにて散々ぱら「こうやすやすと傑作連発されたら感覚がバグるだろうが!」と謎のブチギレをカマしてきたのだが、WFC基準で目が肥えてしまっている我々の期待値に答えてくれるのか?と不安を感じていた。
しかし、実際のところ蓋を開けてみたらLEGACYラインは事実上「WFC第4シーズン」みたいな、あれ?トリロジーっていうかテトラロジーじゃね?といった状況。KINGDOM以降の補完と、同様のテーマをその他のユニバースのメンツ(G2やプライム等)からひっぱてきているような印象ではある。
LEGACY:Wave1 ヴォイジャークラス「プライムユニバース バルクヘッド」
そんなレガシーラインから、Wave1となるプライムユニバース バルクヘッド(以下バルクヘッド)が遂に到着。ド頭から長文を叩き込んでおり結論までが長引きそうなので早々にケリを付けておくが、記念すべきレガシーラインの1発目となるバルクヘッド、もうめちゃくちゃ普通に、ごく自然な流れで傑作。
こうも傑作が続くのか。造形も良いし、可動面も引き続きWFC準拠、しかも今回は品質まで良いと来ている。トランスフォーマーなんてものは大抵どこかしらの関節がカッスカスのプランプランであるのが常であるというのに、今回はどこの関節も激渋で保持力がエグい、保持力おばけである。なんの不安もない、凄まじい安定感。涅槃かよ。
ただ、箱、お前だけは許さん
そして今回も早々にディスっておく。箱だけは信じられない程に糞、そびえ立つ糞山である。
過去のポストでもプラ廃止による窓のオミット()の話は触れていたのだが、今回届いてみたものを触ったインプレッションは「薄い」の一言。箱がペラペラなのだ。
いや、語弊がないように言うと、そもそも昨今のTFの箱はボール紙と呼ぶにはあまりにも心許ないレベルの薄さであり、それ自体は今回も同様。おそらくWFCからこの薄さは変わっていない。
しかしながら、窓が廃止されたことで窓の副産物であった「プラのテンション」すらも失い、もう本当に信じられないレベルでペラペラ、食玩売ってるんじゃねーんだぞというレベル。
更に輪をかけて、今回窓が廃止になり直に穴が空いているという弱点があるというのに、何を考えたのかハズブロは以前よりも面のカットを増やすという暴挙に出ている。
以前よりも箱の形状は複雑となり、これに伴い、より耐久性に問題があるような状態になっているのだ。正気なのか。下手したら、アマゾン梱包によくある「ダンボール板にシュリンク」しただけでも箱逝ってしまうんじゃない?という心もとなさ。
私の手元に届いたのは丁寧に梱包されていたものの、当然あちこちが凹み、湾曲し、潰れている状況。ハズブロの品管どうなってんの?
また、こちらも以前にも触れたように箱に大穴が空いてはいるが武器の付属は剥き身・くくりつけ地獄車である。絶対付属欠品出まくるでしょ、いや本当にハズブロの品管どうなっているの?マジで。
プライムユニバース バルクヘッド ロボットモード
以上で文句は終了。
名前通りトランスフォーマープライムのバルクヘッドをG1ラインの世界観に引っ張ってきて、G1ラインのルックスへとリフォーマットを行ったようなルックス。
リークやオフィシャルの宣材の時点で、「足長すぎじゃね?」とプロポーションに不安を感じていたのだが、実際に手にとってみたら全くそんなことは無く、またプライムシリーズの当時品トイが非常にクオリティが高かったことから、これをわざわざ箱ロボにしてやり直す意味はあるのだろうか?とも感じていたのだが、これも実際に手にして「これは普通に有り」と一瞬で過去の杞憂を吹き飛ばしてくれた。
背面にはシールドとしても使用可能な幌をつけることが出来る。当時のバルクヘッドには幌など無いのだが、トランスフォームする車体も含め、今回のバルクヘッドはG1ライクなボディへのリフォーマットに伴い、実写TF映画に登場するハウンドのフレーバーが散りばめられている。
トランスフォーマーではこうしたキャラの「習合」はよくあることで、後述するが同プライムのアニメ内に登場したホイルジャックは、「ホイルジャック」という名前は文字通り名ばかりで、その中身はほぼドリフトだった。
人気キャラや「名称」に別キャラのパーソナリティを加えていく様は、エジプト神話における神同士の習合にも近く、そうしたパーソナリティや「名前」のキメラ合体を楽しむのもトランスフォーマーの醍醐味ですらあるようにも感じている。
が、こうした習合は特に国内では悪い方に働き、トランスフォーマースーパーリンク(海外:エナジョン)にて、バルクヘッドというキャラは既に登場していたのだが、国内ではスプラングへと変更。
このマイクロン三部作のルーツを回収するためか?レガシーバルクヘッドにはミニコン(マイクロン)をくっつけられるジョイントまで用意されている。
その後でっぷりとした体型のバルクヘッド像が完成されたアニメイテッドにおいても、国内は「アイアンハイド」と名前を変えるという珍プレーを行っており、国内で「バルクヘッド」という名前が正式採用されたのはプライムでようやく、という、相変わらずのカオスぶりである。
※更にはそんなプライムの国内アニメ放送もオートボットがフルボッコにやられて、これから体制を立て直し反撃開始!というところで、番組は見事に終了となった。メガトロンの侵攻によりオートボットの基地が陥落するところで無事終了と相なり、事実上メガトロンの完全勝利という見え方で番組は終わっている。
既に話は脱線しているが、まずここまでで感じたのはあまり目立った肉抜きが存在しないという点。WFCのシージもそうなのだが、こうした新シリーズのWave1商品はこの辺りの意識が非常に高く、非常にハイクオリティな物が多い印象。今回もそれに乗っ取った気合の入った内容となっている。
太もも内と上腕に穴は空いているが、何れも背面から見るとポッカリと穴が空いている…等、めちゃくちゃ目立つような構造ではなく、さほどルックスには響いていない印象だ。
ただ、唯一突っ込むのであれば胸~腹部。今回のバルクヘッドの胸部は基本ビークルのフロントの1パーツをガボッと当て込んでおり、その為胸部の内部はスッカスカになっている。コレを本体裏や斜め下あたりから覗き込めば気になることは気になるのだが。実際のところその他の部分も含めかなり健闘している部類かと思う。
付属の武器はバルクヘッドの特徴的な手に装着する鉄球のバトルメイス、また前述の幌のシールド、そして今回のレガシーシリーズのギミックとして付属となるエネルゴン武器の「エナジョンマシンガン」が付属。
もはやお家芸となっているが、このシリーズのメインギミックとなるはずの「エナジョン武器」がやたら小さい。前述の通り、ハウンドのエッセンスを引き継いでいるのであれば、ここはガトリングレベルの馬鹿デカエナジョンウェポンで武装してほしいところであるが、マシンピストル程度に収まってしまっているのがTF玩具あるあるである。
このエナジョンマシンガンは肩付近へのマウントが可能。
バトルメイスがギミック的になかなか面白く、差し替えや拳を格納した穴にさす…等では無く、拳を覆う形で装着するという凝った作りになっている。
超豪速球な箱ロボではあるものの、可動面もなかなか健闘していてかなり無理くりだが膝立ちもなんとか可能。またWFC基準の接地性を高めるための足首可動も健在で安定感も抜群だ。が、エナジョンマシンガンはとても小さい。※二度目
腰のロールや手首の回転等、基本的に一通り可動する。また、冒頭にも触れたがそれらの可動軸がいずれも激渋で保持力がえらく良いため、安定感や手にとっていじっているときの感触も非常に良い。
幌のシールドは窓付き。本来盾として持たせる場合はは幌の裏側を表に向けるようなのだけど、そもそもが盾…?という見栄えなので正直どちらでもOKな気する。
バルクヘッド比較
初登場(前述の通り若干語弊あり)のアニメイテッドバルクヘッドから、基本バルクヘッドと名前の付く玩具にはハズレ無し、という印象が強いのだが、今回は"プライムユニバース"という事もあり、プライム版の
・ファーストエディション版
・アームズマイクロン版
を引っ張り出して並べてみた。
ファーストエディション版(画像左)が評価されがちなプライムトイだが、劇中の姿の再現度で言うとアームズマイクロン版(画像右)のほうもまずまずの出来となり、何れもプロポーションや変形ギミックなど非常にハイレベルなものになっている。
そもそもアニメイテッド~プライムあたりって、作品や玩具何れもファンの間でも意見がわかれがちなのだけど、玩具の変形機構やデザイン性は異様なまでにクオリティが高く、その後のジェネレーションズライン展開と比べても特異点的な存在。
個人的にはかなり気に入っているラインなのだが、あまり正当な評価が下されていないあたり非常に残念に感じている。
そんなプライムユニバースのバルクヘッドをG1センスでリファインする意味あるの?と展開前は非常に疑問を感じてはいたのだが、結果として「なにこれ、めっちゃカッコいいじゃん」でございます、本当にありがとうございました。
プライムやアニメイテッドで顕著だった曲線のラインはすべて直線へと引き直され、バルクヘッドで言えば若干ファットな印象だった有機的なイメージから、よりロボ感を感じる無機的な雰囲気へとタイトに仕上がっている。
※「…なんか痩せた?」
が、こうした良質なG1リファインを見た今でも、レガシー版のアーシーは不安で仕方がない。いや、とにかくファーストインプレッションが最悪すぎたので、手にとった際のワンダーを待ち望んでいる。
G1ルック「トランスフォーマープライム」
「お前ほとんどドリフトじゃん」でお馴染み、プライム版ホイルジャック。
バルクヘッドがG1ナイズされたのであれば、ホイルジャックも刀持たしとけば「プライムユニバース・ホイルジャック」として見ることが出来る!
更に言えば、キングダム版ウルトラマグナスもハンマー持たしとけば「プライムユニバース・ウルトラマグナス」が成立する。
前述の通り、国内ではオートボットがボコボコにされるところで打ち切られた事により、映像に登場することすら出来なかったプライム版ウルトラマグナスだが、バルクヘッドとホイルジャックら3名はプライム版レッカーズのメンバーであり、こうした再現も可能。
当初は「なんでプライムからバルクヘッドとアーシーだけぶちこんだの??」とはてなだらけだったが、よくよく考えればこの2名をG1ナイズさえすれば、それ以外のオプティマスやバンブルビー、ラチェットをWFCラインから引っ張ってくるだけで、G1ルック「プライムユニバース」が成立する。なにこれ、めっちゃ面白いじゃない。がちゃがちゃ言ってゴメンな?ハズブロ。
ただ、欲を言うのであれば、プライムキャラそれぞれのG1ルックへの落とし込みが見たくなってくる。それくらい今回のプライムユニバース・バルクヘッドは非常に良いアプローチだったと感じている。
余談:プライム見て
ビーストに次ぐ勢いで好きな作品でもあるトランスフォーマープライムなんだけど、やたらと「暗い」とか云う糞みたいな理由だけで駄作扱いされて、もう、私はめくり上がっちゃうくらい悲しいよ。
作品的に見てもビースト以来のフルCGアニメで、制作には実写映画のスタッフも参加していたりとクオリティも高く、設定も実写映画からもスライドしやすい内容になっていて、本当にオススメなのだけど、惜しむらくは前述の通りこれからクライマックスに向かうってところでめちゃくちゃ国内で打ち切られた部分。
その後の展開ときたら、オプティマス瀕死でメンバー離散…と背水の陣のオートボットにウルトラマグナス参戦からの反撃開始!だったりとか、第3勢力のプレダコンズ参戦!とか、スマブラの「参戦」動画宜しくテンション爆上がり、且つ物語の終止符を打つのはオプティマスではなく…と、以降のトランスフォーマーのニュースタンダードを作った作品でもあるというのに。作品テーマを評価せずに表面的な「暗い」=ダメ、で片付ける流れどうにかなんねぇかなぁ。
あとタカラトミーは何でもかんでもビーストの吹き替えやれば面白いとホンキで思っているところと、オートボット(マクシマル)がやられたところでちょうど打ち切るイカれた癖をどうにかしてほしい。
「トランスフォーマープライム」の作品魅力の話は以前のポストで↓
トランスフォーマー:プライム AM04ラチェットをカスタムと、プライムラチェットの魅力 - くるめろとは違う
トランスフォーマー:映画 バンブルビー観てきたよ! と、今だから勧めたい平成トランスフォーマー作品 - くるめろとは違う
そして幻のシーズン3をチェックするべき。
シーズン3を英語視聴することで理解が出来るかと思うが、バルクヘッドは原語では「バォクヘェ!」と発音され、これが完全にボケにしか聞こえない為、国内では「ボケ」の愛称でも親しまれている。
※更に余談だがバルクヘッドのチームメイトで且つ日本人、数少ない「人間」のレッカーズメンバーとしても有名なミコだが、これも原語版ではムィコ!と独特な発音で表現されている。
プライムユニバース バルクヘッド ビークルモード
またもや脱線しているが、ビークルモード。
車両は冒頭にも触れたハウンドのカラーが色濃く、ロストエイジ期のハウンドのような軍用トラックに変形するが、ルックス自体は多少ディフォルメされているような印象。
しかしながら運転席後部に配置されたタイヤ等、実際の実車「Raba H18」に寄せようという努力は非常に感じられ、またこのタイヤ類が全てフェイクではなく、変形後の各部へのアクセントになっていたりと細やかなこだわりを感じさせる。
こちらも前述の通り、幌には何故かミニコン(マイクロン)をくっつけることの出来るジョイントが配置されている。
また、これもトランスフォーマーあるあるなのだが、タイヤのホイールの塗装がない。変形機構もしっかりしていてルックもいいだけに、こういう部分は本当に残念なのでホイール塗って。
更にトランスフォーマーあるあるである「武器類の余剰パーツはただただ車体側面に括り付けとけば良かろう」論。これはキングダムラインにて更に暴走し、動物だろうが体の側面や腹部に武器括りつけとけば良かろうなのだぁー!と、とんでもない方向に発展していたが、今回は幌内部に自身の武器パーツを格納が可能できる。こうした面も満足度が高い。
驚異の収縮率だと感じている旧プライム玩具版バルクヘッドだが、今回のレガシー版も大概に異常である。画像の通り頭一つ抜けているアームズマイクロン版と同等のサイズ感までコンパクトに纏まっている。
今回で言えば幌の中身はほぼ空であり、その点を加味すればこの異様さが分かるかと思う。とは言え、この収縮率は主にロボット時にほぼ空洞だった胸部へのパーツの格納が大いに関係しているのだが。
※左からファーストエディション版、レガシー版、アームズマイクロン版
あのマッシブな体型がここまでコンパクトに収まるのか!という面白さのある内容に。
とは言え、プライム玩具の変形へのとんでもない詰め込み方、癖のある変形機構を鑑みればレガシー版は幾分セオリー通りというか、常識的な内容に落ち着いて入る印象だ。
(こっち見んな)
主にレガシー版アーシーの不安
以上、LEGACY1発目のバルクヘッドは、TFPファーストエディション版を筆頭とした過去の傑作の重荷を背負いつつも、そのプレッシャーに打ち勝つ事ができる傑作であり、且つWFCトイとの組み合わせで「G1ルック版プライムユニバース」を展開することが出来るユニークな内容となっていた。
WFCに続き相変わらずのクオリティの高さは維持しているのだが、しかりながら「LEGACY」という新規シリーズを感じさせる「新しいなにか」という物はなく、ただただ「WFCの延長4年目」感に落ち着いてしまっているのは少し残念ではあるが…
しかしながら、WFCが非常にクオリティの高い整理されたシリーズである点を考えれば、このまんまのクオリティでリリースが続いてくれれば御の字感も否めない。
等と、もにょもにょ言っているのもつかの間。レガシーシリーズはWave1にてアーシーというまさかの強烈な爆弾を抱えてやってきやがったぜ!!
宣材の時点で、謎のワッフルメーカーのような武器を思いっきり構えてみたりと、頭を抱えてしまうような内容が叩き込まれているが、果たしてその真相は?
次回、アーシーのポストにて、乞うご期待!たぶん書く!!