くるめろとは違う

くるめろと貴様は関係ない。

トランスフォーマー:ビーストウォーズ ビーストウォーズ再考2 キャラクターの鬼改変ーマクシマルズ編

トランスフォーマービーストウォーズ」より

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リブートと聞いて高鳴る気持ちを抑えたり空気を読んだりしよう

前回でのブログでも軽く触れたのだけど、NYトイフェアぐらいの頃に突如発せられた実写リブートのお話。これを聞いて、「前作最後の騎士王でユニクロン出してこれまで以上に次回作への布石を打っておいてリブートってマジか」というような意見や、「実写化がマンネリ状態」や「ベイが主要キャラ殺しまくったせいでキャラ立ちが厳しい」等、様々な意見がウェブを飛び交う中で。

個人的には上記の実写TFに対する意見て、どれもそのとおりだと思っていて、僕の場合はそこに更に

  • 明らかに飽きられている状況への対策として謎のエッセンスが次々と付随されていく安っぽさ

アーサー王伝説とか

  • 変形前と後の繋がりがどんどん雑になっていくオプティマ

※なんちゃらナイトオプティマスってトレーラーに変形するんですか?すごいですね!

が追加される。わりとファンから見ても限界を迎えているTF実写。

そんな中での一時的なリブートの報道に対して…僕はひとり「よっしゃ!ビーストウォーズ実写化待ったなし!!!」と、謎のベクトルに傾いた、全く根拠のない喜びに打ちひしがれていた。

ビーストファンはこれだから…と一笑に付すお気持ちも重々承知なのだけど、めちゃくちゃ見たくないですか?いやマジで、めちゃくちゃ、見たくないですか?最新のCG技術でフッサフサに毛が揺れる(実際のゴリラの毛はそんなに揺れねーよレベルで揺らしがち)ゴリラがウォオオオ!って叫びながら変形するシーン、見たくないですか?

機械と毛皮が同居する(ビーストの公式設定では、彼らビースト戦士の毛皮や皮膚は動物に準拠しているそうなので、実際はもふもふしているそうです)ちょっとオーガニックなロボット達がロサンジェルスで殴り合うのみたくないですか?あ、でもビーストって基本は原始人レベルで昔の話だった。ただ、そこはいいです、改変しちゃいましょう。

そんな訳で、今回はビーストウォーズ再考、国内ビーストウォーズにおける度を越したキャラクターの改変のお話なんです。

 キャラクターの鬼改"編"

cruelmelody.hatenablog.com

*YO、マイメン。今回のブログはこのブログの続きだメン。

前回のブログにてビーストウォーズの最大の改変は「吹き替えアドリブではなくキャラクターやストーリーの改変だ」とポストした。国外ではそのストーリー性、またストーリーを引き立たせるそれぞれのキャラクター性が高く評価される中で、猛烈なディスを受ける国内ビーストのストーリーやキャラクターの改変とはどういった部分なのか?

今回はビーストウォーズという世界の中でそれぞれの思想の元に動いていくキャラクター達の本来の設定などと共に、国内のキャラ改変が如何にストーリーに影響を与えていったか、サイバトロン(マクシマルズ)サイドをメインに考えていきたい。

マクシマルズとプレダコンズ

まず大前提として、BWは国内トランスフォーマーお馴染みサイバトロンとデストロンの名称の2軍営が争うことになるが、個人的にはこの点からしてキャラクターやストーリーに大きな影響を与えている。

というのも、今回登場するTF達は400万年に及ぶグレートウォーが集結した未来の戦士たちであり、これまでのTFとは構造や所属が違う全くの新世代達。ビースト戦士たちが比較的体格が小さく、車両等ではない有機体をスキャンできるのはそのおかげ。

コンボイオプティマス・プライマル率いるマクシマルズとメガトロン率いるプレダコンズ達の間ではトランスフォームの起動コードにも差があり、

  • マクシマルズは「マキシマイズ」
  • レダコンズは「テラライズ」

の掛け声で、変形を行う。この辺りから国内では差異がある。サイバトロン・デストロンオールドスクールな呼び方はまだ分かるが、トランスフォームを両軍「変身」に統一してしまったせいでいくつかのキャラクター性とドラマ性が死んでしまっている。

 

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特に第1話におけるダイノボットのプレダコン脱退→オプティマスとの一騎打ちは最たる例で、オプティマスへリーダーの座をかけて勝負を挑むシーンにてダイノボットは戦いの前にトランスフォームの起動コードを「テラライズ」から「マキシマイズ」へと書き換えていた。

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この行動はダイノボットのキャラクター、彼の挑戦に対する後の無さと共にその几帳面すぎる戦士としてのルール感を表現している。ダイノボットは戦いに生きる生粋の戦士であり、勝利を渇望する異常な野心感を秘めているが、自身の中でのルールは絶対に破らない、そんな事を感じさせる一面でもある。

 

 

エアラザーが女性っていう女性軽視とまさかのジェンダー論最先端アニメ

これに関しては死ぬほど有名なエピソードなので偉そうに語ろうとも思わないのだけど、国内キャラ改変一番の被害者であるエアラザー(海外名エアレイザー)。国内玩具展開にて「女のキャラの玩具なんか売れない」という事でエアラザーは男性へと書き換えられる。

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問題のエアラザー玩具。何故ブラックウィドーは男性にならなかったのか?アニメにおける胸元が答えです。

今やらかしたら各界からフルボッコにされてしまうであろうスーパージェンダー・ハラスメントを強行した当時のタカラさん。アニメビーストウォーズはタカラにとって単純な玩具販促としての側面しか無かった事はあまりにも明白だが、海外におけるシーズン2、国内「メタルス」展開においてタイガトロンと本来女性であるエアラザーの関係が恋愛へと発展。

あまりにもアホらしい女性軽視問題が、まさかの"「ホモセクシャル」という題材を夕方時間の子供向けアニメに持ち込む"という世界的に見てもかなり速い「性の自由」の表現へと発展していく。考えなしにキャラ改変を行ってしまうからっすよ!?タカラさん。

冗談はさておき、マクシマルズ・プレダコンにそれぞれ所属する女性戦士のエアラザーとブラックウィドー、女性VS女性のシチュエーションのなんとも言えない空気感が崩壊。※エアラザーとブラックウィドーのファイトに流れる不思議な空気感はこちらが原因

ちなみにエアラザーは自身の誕生を身を挺して見届けたライノックスに対して父にむけるような特別な感情を抱いている。

 

チータス成長の物語

サイバトロン=マクシマルズ小隊のキャラクター達の間には少なからず家族のようなフィーリングが存在しており、チータスはマクシマルズという家族における子供としての役割を担っているように感じる。

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国内ビーストでは彼らに「年齢」や「階級」を感じさせる描写は少ないが原語版ではチータスは確実にオプティマスに対して並ならぬ尊敬と父性を感じており、これは同じネコ科であるタイガトロンにおいても同様。

※尊敬するオプティマスがスコルポスのウイルスで攻撃的な姿へと変貌した際に、そんなウイルスに対する恐れをあらわにして怒り狂うオプティマスを誰よりも心配していたのは、他でもないチータスであった。

原語版ではタイガトロンにも甚く惚れ込んでおり彼を「ビッグキャット」の愛称で呼び、タイガトロンも彼の羨望に答えチータスを「リトルキャット」と呼んでいる。(ビッグ~は日本における○○兄貴などの敬称に近いのかも)

時に他人の恋仲(ブラックウィドーとシルバーボルト)に割り込んでみたり、と原語版におけるチータスは完全にティーンエイジャーそのもの。

そんな彼の魅力は成長性、事実彼はオプティマスとメガトロンの両リーダー以外では異例の2度のメタルス化を果たしており、精神的なだけではなく外見的にも成長を感じさせる描写が多い。ティーンの暴走のみで終わることなく成長しマシーンズ(リターンズ)では新たなリーダーとしての才能が目覚める。直情的になってやらかすも、成長しリーダーへと目覚める一面はザ・ムービーのロディマスを感じさる。

 

国内版最大の戦犯 山口ラットル

これはとても個人的な意見になるが、国内ビーストをアドリブ天国()へと押し上げたのは間違いなくこの御方だと思っている。小学生レベルのギャグセンスと後半加熱するお下品っぷりは凍てつく波動のような、キレッキレの寒さだが、しかしながら当時の小学生男子への訴求力は尋常じゃなかったのだ。僕自身当時最も好きだったキャラクターだったし。

前述したように国内版では様々なアドリブによってキャラクター間の上下関係的なものに謎のジャミングがかかっている。特にラットルとチータスによる軽妙なアドリブ会話は彼らの関係を対等のように見せるが、ラットルはチータスの遥か上を行く戦士である。

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彼の出自は軽口によって謎に包まれているが、様々な分野でテクニカルなスキルを発揮する熟練の工作員。皮肉屋で国内版よりもややダーティーな雰囲気や言動が多い。

また国内版ではまるで子供のようにオプティマスに叱られるシーンが目立つが、原語版ではオプティマスは彼の能力を高く認めているような描写も多い。(が、ラットルは地位や権力を嫌うアナーキストな一面も)オプティマスがやたらとヤバい場所にラットルを連れて行きたがるのはそういった経験に裏打ちされたラットルの実力を知っているからこそ。

ダイノボットとの口喧嘩は国内では子供の言い争いのような表現で消化されているが実際はおっさんどうしのえげつない皮肉合戦に近く、そういった「テクニカルな薄汚いおっさん感」が国内では完全に死んでしまっている。

 

ぱたぱた犬でぇっす! シルバーボルト、残念なことに原型をとどめていない

エアラザーのキャラ崩壊が取り沙汰されているが国内ビーストでは後期になるに連れてよりキャラクターが"ディフォルメ化"されていき本来の人格が殺されていくことになる。

シルバーボルトは確実にそんな煽りを受けまくったエアラザーに継ぐ被害者。本来彼は「騎士道」を重んずる清廉潔白すぎる勇敢な騎士であり、国内でやたらとヘタレ青年のように描かれた姿とはまったく別のパーソナリティを持つ。

正々堂々とした勝負を好み、自身より弱いもの・相手が不利な状況では戦いたがらない等、情熱的で大げさなほどに騎士を演じる。彼のセリフの後に謎のファンファーレがなるのはそういった真面目すぎる正義感を若干ネタにしているからで、あの謎のSEに対して疑問を感じていた方も多いのではないだろうか。


Transformers: Beast Wars - Welcome, My New Predacons!

また、そんな正義のど真ん中を行くシルバーボルトがビースト界、果てはTF界随一の悪女であるブラックウィドーと恋に落ちていく描写はアーサー王伝説ランスロットになぞられている。

彼も前述した「変身」の被害を被っており、メガトロンによってトランスフォームのコードを「テラライズ」へと書き換えられ自身がプレダコンだと騙されるのだが、国内盤では「変身」なので理由付けが甘い。

 

 タイガーファルコンと第三勢力ヴォック

レダコンとマクシマルズが墜落した星には"何者かによる星への介入"の痕跡がいたるところに存在した。その何者かがエイリアン「ヴォック」という存在であり、彼らは地球を実験場として創造し幾度とない実験によって破壊と再生を繰り返していた。

完全に余談だがこのサムシンググレート的な「偉大なる何か」による進化の促進はビーストが放映されていた当時、アメリカにて話題になったID論(インテリジェント・デザイン論)の影響を強く感じる。ID論とは偉大なる何者かによって人類の進化は促されてきた=デザインされてきたというトンデモ説だが、進化論によって神を失ったキリスト教徒の一部が神の代行者を「偉大なる何者か(つまり神なんだけど…)」へとすり替えて持ち上げ、ジョージ・ブッシュであったり一部の著名人もこちらを後押しし一時は教科書に載るかどうかまで発展。この際にカウンターとして最もポピュラーなおもしろ教の空飛ぶスパゲッティーモンスター教団が設立された。

※ヴォックに関してはストーリーに密接に絡んでいくのでストーリーのポストの機会に。

トランスフォーマー2010にあるようなエイリアンとの三つ巴の戦いの構図。しかしながらビーストウォーズにおけるエイリアンは只の邪悪な存在というラジカルな勢力から一歩先へと進んだ「知的生命体」としての側面が強くなっている。

オプティマスも一度エイリアンの施設に閉じ込められて身体を調査されていたが、タイガトロンとエアラザーは彼らに捕まった後に回収。ヴォックが介入する地球で暴れまわるトランスフォーマー達を排除するための「ヴォック密使」として二人の体を利用しタイガーファルコンへと融合させられ、その身体を利用しヴォック自身が地球へと向かい直接的に排除しようとする。


Beast Wars the birth of Tigerhawk

国内盤では「そうだね~」「そうだよ~」が口癖の可愛らしい声のエイリアンが「二人のスパークを合体させるんだ」といろいろ端折ってタイガーファルコンをクリエイトしているが、実際にはタイガーファルコンの創造はヴォックの目的の為の道具であり、二人のスパークはこの融合にて身体から追い出されている。つまり、ほとんど殺されている。

こうしてヴォックにとって邪魔な存在であるメガトロンをヴォック自身がタイガーファルコンの体を使って地球に殴り込みをかけることで排除しようとするが、タランスの妨害によってヴォックはタイガーファルコンの身体から抜け出る。ヴォックの後を追い遂に地球へと帰還したタイガトロンとエアラザーのスパークは1つになり、タイガーファルコンの身体へと入り込む事で復活を果たすのだ。

 *国内では調停特使とされるタイガーファルコンの実際の肩書は「ヴォック密使」

メタルスダイノボットの話をしようかと思ったんだけど、くっそ長くなったので一旦切る

そんな訳で本来原語版で語られていたビーストウォーズのストーリーと、日本版にて結構雑にやっつけられてしまったストーリーの差異を少しばかり纏めてみた。実際はもっと細かいやっつけが大量にあって、全てまとめようとしたら日が暮れまくって夏になってしまいそうなので要所要所端折ってみた。

次回はプレダコン編として纏めてみたいと思うんだけど、いつになるんだろうか。

 

 

トランスフォーマー:ビーストウォーズ ビーストウォーズ再考1

トランスフォーマービーストウォーズ」より

 

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ビーストウォーズ再考

突然だがあなたはビーストウォーズをご存知だろうか?と聞いて、少なくともトランスフォーマーの事を頻繁にポストしているこの辺境の地ダゴバのようなブログに足を踏み入れているあなたがビーストウォーズを知らないという事はあまり想像ができないのだけど、敢えて説明しよう。

ビーストウォーズは1996年(国内では97年)から始まったトランスフォーマーの新基軸であり、90年代前半~中期までのトランスフォーマーG2にて若干低迷した(国内では勇者シリーズに立ち位置を完全に奪われていた)TFブランドを世界的なブームへと引き戻したモンスターコンテンツである。

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初期の玩具に付属するギミック「ビーストマスク」。*海外ではミュータントヘッド

当初の構想ではビーストへと擬態した彼らのメインの顔はこちらで、このビーストマスクを外すことで本来のTFとしての顔が出てくるという設定だったようだ。アニメ展開でも戦闘時の武装として一時は検討されたようだが結果としてオミットされた。

これまでのTFとは完全にかけ離れたルックスのこちらの新基軸はその後のビースト戦士へとしっかりと継承されていき、BW後期へと向かうに連れてビーストマスクのような禍々しい顔が通常の顔とされる戦士が増えていく。初期の玩具はこの転換を迎えるに当たっての橋渡しの時期、そんなわけで2つの顔が同居していたのだ。

 

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国内でも玩具が売れすぎて品切れになるほどの人気となり、海外展開の新作を放映するまでの"ブランクを埋めるため”に和製ビーストと呼ばれるビーストウォーズセカンド、ビーストウォーズネオまでが「日本製作」で作られるほど。トランスフォーマーの映像コンテンツを基本的に輸入に頼っている昨今と比べてみてもその異常な熱量で、とんでもないブームであったことは正に火を見るより明らか。

こうして爆発的に拡大したビースト戦士達の大進撃だが、凄まじい勢いで消費されていったコンテンツや玩具、日本と海外での放送スケジュールによって生まれたブランクや国内カーロボットの躍進、一般的にビーストウォーズに刺された「とどめ」と言われるビーストマシーンズ(国内ビーストウォーズリターンズ)と徐々にその人気は先細っていき世界規模での動物たちの戦争は終止符を打つことになる。

 

叩かれまくるよ、ビーストウォーズ

盛者必衰、爆発的な大ブームとボロ雑巾のようになるまで使い倒す事で作品自体が不本意な結末を迎える事は、こと玩具界では何ら珍しいことではないのだが、しかしながらビーストウォーズというコンテンツは今も世界中で愛されておりその人気は折り紙付き。

現在海外で展開しているパワーオブザプライムにて発売が予定されているオプティマスプライマル/オプティマオプティマスはファンの投票で選ばれた「プライム」の商品化ということで、海外においてビーストウォーズが未だ根強く人気な事が分かるかと思う。

 

が!だ。しかし、なのだ。

とても残念なことに、日本国内において「ビーストウォーズ」は高確率で論争の引き金となる存在であり、火種のような扱いを受けることが多々有る。

国内でも空前の大ブームを巻き起こし、後のカーロボットを生み出すまでの土壌を築き、「トランスフォーマー」というコンテンツの布教・拡散に一役どころではないほどに尽力したではないか。一肌どころじゃないほどに脱ぎまくった(動物だからそもそも全裸だね!)というのに、トランスフォーマー作品として受け入れられないこともしばしば。

では何故国内においてビーストウォーズはこうも扱いが悪いのだろうか。

 

声優のはなしばっかだよ、ビーストウォーズ

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俺は一気に核心を突くぞー!ジョジョーッ!

という訳でビーストウォーズの最大のタブーに、直接的に切り込んでいこう。ビーストウォーズが常に論争を巻き起こすのは間違いなく、

「ビーストは声優のアドリブが最高」

といった、一部、あるいは多くのファンがストーリーやキャラクターではなく国内のみで展開された声優のアドリブを最も評価している部分に起因する。

悪のリーダーであるメガトロンは未だに声優の名前を採った千葉トロンと呼ばれ、ゴリラのコンボイの話をすれば「イボンコペッタンコ」の話を嬉々として持ち上げる。ていうか、ペッタンコになったのはリターンズ(マシーンズ)のゴリラでBWやメタルスのゴリラじゃないからね、当然ながらこういう事を言う人の大半はリターンズ見てない。

これはもう明白どころではないほどの事実であり、多くの絶賛が声優のアドリブへと帰結し、多くの批判もまた声優のアドリブへと帰結する。

 

日本版ビーストウォーズは公式MADなのか?

声優達のアドリブの功罪を語る際に往々にして登場する音響監督の「岩浪美和」という存在。猪木がタバスコを国内に持ち込んだレベルの"誰でも知っている駄トリビア"と並ぶレベルで有名な話として、ビーストが国内に輸入された際にこの御方が

「内容の暗さと難解さから日本では受けないと判断し、原作から雰囲気を変えコメディタッチへと独自に脚色、声優のアドリブを容認した」

といったエピソードがある。今でもビーストウォーズが配信される等のニュースでは「あの伝説の!最強の!悪乗りアニメ」「声優無法地帯」等の"レッテル"と共に取り沙汰されるほど。

しかし、当時の小学生達に”かの悪乗り”はクリティカルヒットした事は紛れもない事実。こうして、国内ビースト肯定派の主張の根幹はこの岩浪監督の金言「暗すぎるから明るくしたった」を基軸に展開され、国内ビースト否定派はこれに対するカウンターとして「行き過ぎたアドリブがストーリー性を破壊している」や場合によっては「そういうビースト肯定派が嫌い」といった拗れ具合へも発展している。

 

海外で日本版ビーストウォーズが糾弾されている説、割りとマジ

ちなみにこれらの論争にてたまに語られる

否定派の間の3種の神器の一つとも言える「海外の反応」だが、多くの人の口から語られる割には「それどこソース?」な、わりと実態を持たないことでも有名でもある。

しかしながら、90年代後半~00年代前半、友人たちが次々とビーストを卒業していく中で、ネットの急速な拡大の恩恵を受け独りネットを駆使して海外ショップからビーストマシーンズ(国内ビーストウォーズリターンズ)の玩具を個人輸入していた僕は、そんなおぼろげな海外ファン激おこ説を検証するために「Beastwars japanese dubbing」あたりの単語でwebの海へと潜行していたのだが。

これがわりとマジだった。完全なアンケートをとってパーセンテージを導き出したわけではないので、結局は体感値となってしまうのだけど、海外のビーストウォーズファンは結構な確率で日本のビーストウォーズをs●ckだとかstupid dubbingだとかFから始まってKで終わる単語であったりとか、そんな感じのパンチのある言葉でこき下ろしていたのだ。

それって所謂海外版「大きなお友達」のお話でリアル世代の言葉ではないでしょう?とも思われる方もいるかも知れないが、そもそも僕やあなたのようなビースト世代(ビーストウォーズを小学生で体験した世代)も今や完全に大きなお友達へとトランスフォームしているように、海外で国内翻訳を糾弾する大きなお友達の諸君も僕らと同じようにテレビの前に正座をしてBWを見ていた当時の少年少女たちで構成されているのだ。

 

あぁ、マジだったんだ、と真実を知る中でそんな罵倒と共に語られる彼ら海外ファンの情熱的な訴えの終点は共通していて

ビーストウォーズ(だいたいメタルスまでの事を指している)はとてもいいキャラクターとストーリーを兼ね備えた素晴らしいアニメーション作品なのに、日本の馬鹿げた翻訳はそんな彼らビースト戦士のキャラクター性を破壊していて、そのせいで物語が破綻している」

といった内容。

そう、つまりアドリブがどうこうではなく、国内ビーストウォーズの問題点はキャラクターの改変や雑な扱いによるアイデンティティの破壊で、それに伴って本来語られるべき重厚なストーリー・それぞれのキャラのドラマが正常に機能していない事がなによりも問題なのだ。

 

イボンコペッタンコがどうこうとか、そういうビーストファンが嫌いだとか。これらのどこがビーストウォーズの本質に触れているのだろうか?国内ビーストウォーズでの問題の本質はストーリーのメインラインがしっかりと語られていないという悲劇が生み出した過小評価なのだ。

ビーストウォーズは挑戦的な新基軸(ビースト)や登場するキャラクターの群像劇、過去のG1世界とリンクしていく重厚なストーリー、更に当然ながら玩具としての革新性を兼ね備えた素晴らしい作品なのだが、いつまで経っても国内ではイボンコペッタンコヘイヘイお馬鹿とそれらに嫌悪感を抱いてビーストウォーズを否定するお馬鹿の、あほあほウォーズ真っ只中で、お前らは400万年この戦争を続ける気なのか!?400万年待つレーザーウェーブの気にもなって考えてみようぜ。

ということで、本来の意味でのビーストウォーズの楽しさを再考してみようではないか、と。そういった啓示を創世神プライマスから受けたわけです。声優無法地帯()とかドヤりながら言うのは本当に薄ら寒さしか無いのでもうやめにしようじゃないか。

 

そんな訳でビーストウォーズ再考。

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国内でもMPダイノボットの発売が夏に決定しており遂にサイバトロン(マクシマルズ)の初期メンバーのリメイクが終了する。一部では実写版のリブートが噂される中で、「じゃあ、もうビーストウォーズ実写化しようぜ!?マイケル・ベイは抜きで」と勝手に思っている僕が、何回かのポストに分けて「では、海外のビーストファンがそこまでに情熱的になれるビーストウォーズの本質的な魅力とはなんなのか?」を纏めていきたいと思っている。

これはつまりビースト直撃世代である僕自身の愛憎の解体でもある。ここまで書いておいて何だが、僕はビースト放送前の玩具展開からどっぷりとビーストウォーズにハマり、ビースト放送時はそのアドリブに爆笑し、一番のお気に入りキャラクターは国内ビースト最大の戦犯とも呼ぶべきラットルだった。

その後本来のビーストの物語を知ったときの常識が崩壊するような虚無感、そんな20年超えのビーストウォーズへの愛憎の解体を始めたい。