雑記 アメコミの話をする前にやらねばならないことがある
雑記
アメコミはなんか色々ダイナミック
トランスフォーマーのアメコミを語る前に、まず「アメコミ=アメリカンコミックなんて読んだことないですよ」というあなたに軽く説明したい。如何にアメコミが如何にして、”アメリカン”コミックたりえるかを!
アメコミは海外の本なので左に開くよ
日本の漫画や小説って基本的に右開きで出来ているじゃないですか。これは文章が縦に書いてあるから右→左に文言が進んでいく為であって、文章が横書き(英語)で書かれているアメコミは左開きなんですよ。
また、コマの読み進め方も日本の漫画であれば上記の画像のような矢印の方向へ、番号順にセリフを読んでいくかと思うのだけど、
アメコミだと、こうなる。
この辺は日本の漫画に慣れ親しんでいる日本人にとって読み始めは若干違和感や不自由を感じるかもしれない。
TPBとリーフがあるよ
リーフってこんな感じ
海外映画やドラマで子供がやたら薄っぺらい漫画を読んでいるシーンを見たことがある人もいるかと思う。日本のようにいろんな漫画が集合した週刊誌のようなものがないので、基本的に1話が1冊の軽いパンフみたいな形態で販売されていて、これが「リーフ」という形態。
中綴じでパンフレットのような厚み。国内外問わずアメコミショップ等で多く流通しているタイプで、A4サイズ・20数ページ+広告4~5ページあたりで一冊2~5$くらい。
表紙裏や漫画の間に広告が入っているものが多い。
TPBってこんな感じ
これに対して日本で言うところの単行本に当たるものが「TPB」というタイプ。日本の単行本によくあるカラーのカバー(ブックカバー)みたいな物はついておらず、広告などがカットされている。A4サイズで150~200ページ前後で10~15$くらい。
写真のものは表紙のイラストデザインが紙の仕様に反映されているちょっとリッチな仕上がりで、本の下部の倒れ込んでいる赤いロボットの部分はマット仕上げ、上部は光沢のある仕上げになっている。
厚みは日本の単行本の半分くらいなので、日本の単行本と比べると少し薄く値段は高いのだけど、それらに関しては次の項で。
アメコミは基本フルカラーだよ
これはおそらくあなたもご存知かと思うのだけど。漫画(MANGA)とアメコミは文化とか色々違い、結果としてアメコミはフルカラーなんですって、説明が超雑ですけど。とにかく1ページ1ページのクオリティが非常に高く、どのページを取っても表紙に出来てしまいそうな情報量は圧巻。
ただ、このクオリティに対する対価として、1冊あたりのページ数が少なかったり単価が高くなってたりで、前述の通り海外では1冊1200円~1600円ぐらいで販売されている。国内で販売されている翻訳版だともう少しお値段が上がって「2~3000円」あたり。そのかわり日本の単行本的なカラーのカバーやら帯が付いて少し豪華に。
ただ「イラスト」としてのクオリティは本当に高く、僕はよくリーフ版の気に入ったページを切り取って額に入れたりして飾ってます。
アメコミは描いている人が1話毎に違うよ
これがおそらく日本における鬼門。アメコミでは脚本にあたる人は固定で存在しているが、その人が考えた話を絵に描く人が1話1話やチャプター的な括りで毎回違ったりするのだ。
さらに細かく分類するとアメコミでは
編集者の人(話を考える人より偉い)→話を考える人→下絵を書く人
線を引く人→色を塗る人→文字を入れる人
と、ここまで分けられていてる。
例えば、この後紹介するトランスフォーマーのコミックで言えば。
これは全7巻構成で発売されている「カオス編」とか呼ばれているシリーズの1巻と3巻。1巻は日本語版が既に発売されており、3巻はまだ海外でのTPB発売となっているのだけど。
こちらが1巻に登場するホットロディマス(海外名ホットロッド)、トランスフォーマーに登場する第2の主人公的な存在で僕の好きなキャラクター。このように1巻ではTF達は実写版に近い緻密なイラストで描かれおり、全編に渡ってこのテイストでストーリーが進行していく。
しかし、この続編となる3巻では一気にコミック調に。ストーリーは続き物で同一のキャラクターを描いている、しかしシリーズ7巻の中でもそれぞれ書き手が違い、それによってキャラクターデザインも大きく変わるのが大きな特徴。
こういった感じで絵柄がガラッと変わるので、癖がありすぎる作画だとキャラが視認し辛く途中まで読み進めて以前の話に出てきた人物だと気付く、とかがわりとある。
描いている人が違うから死んだはずのやつが生きてたり、強引に生き返らせられたりするよ
これは前述の「絵を描いている人が違う」のストーリー版とでも言うべきか。「○○編」みたいなシリーズ毎に脚本家が違ったりするので、その人の裁量で重要なキャラがいきなり死んだり、その後のシリーズの脚本家の裁量で「あの野郎(前脚本家)!何、ノリで勝手に殺してんだよ!バカかよ!話としては強引だけど”無かった事にして”生き返らす!」みたいな事が結構ある。
日本の漫画で例えるなら
ドラゴンボールにて悟空がチチと結婚するが、その後結婚はなかった事になっていてしかもチチは死亡しており、さらに悟空には新恋人がいたりする。サイヤ人編に入ったところでやっぱりチチとの子供がいた事になってて、フリーザ編にてベジータの役回りがナッパに変更されているが、その後セル編ではやっぱりナッパじゃなくてベジータだったことになっていて、セルに雑に殺される。ブウ編であの時死んだのはベジータじゃなくて悟空だった事になっている。
みたいな。もう、一回りしてどうこう言う気が無くなるくらいにはいい加減なのだ。
そんな訳でマーベル系の作品、キャプテン・アメリカ、アイアンマン、スパイダーマン達やDCのバットマン等、アメコミのビッグネーム作品は「あれは無かったことに…、あいつは死んだことに…やっぱり生きてたことに…」の調理方法によって結構な数のパラレル展開をしている。これはトランスフォーマーも然り。
こういった幾つかのアメリカンな、なんかこう、「アメリカってのはこんな感じでビッグなんだぜ!HAHAHA!」みたいな、テンプレ感溢れるビッグアメリカンを味わえるのもアメコミの醍醐味ではある。
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