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くるめろとは違う

くるめろと貴様は関係ない。

ジョジョの奇妙な冒険のTシャツに関してのいくつかの事:こうして物事は簡潔に糞になっていく。

FASHION

<過去編集記事>

 

 ゴールデンウィークは明けた。これからが本当の地獄だ、と。この時期になると毎度思い出して淡い期待を抱き、そして「まぁそんなわけないか」と残念な気分になる事がある。

ジョジョの奇妙な冒険のコラボTシャツだ。

 

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こちらは2011年の秋冬/第四部の物

 

少なくとも昨年の今頃までは「ULTRA VIOLENCE」を通じて春夏・秋冬とコラボTシャツやロングTシャツがリリースされていたのだが、昨年の5月頃を境にパタリとリリースがとまってしまった。

僕はハイブランドでクオリティにも拘っているULTRA VIOLENCEから安定したデザインとクオリティと「サイズ」(←これが本当に重要)で登場するこのジョジョのカットソー達で夏や秋冬のコーディネートを構築するぐらいにここのコラボ商品が好きだったのだが、ここ1年めっきり音沙汰無しである。

 

そんな中で、最近バンダイがちまちまとアパレルに手を出し愚にもつかない洋服のような物を販売しだしたので、状況はいよいよまずくなってきた。

 

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ひどい有様だ。時をかけて耕された大地は大手の参入とともに焼け野原となった。

 

ULTRA VIOLENCEとジョジョのコラボアパレルアイテムは2007年から始まった。しかし、ここ数年でジョジョの奇妙な冒険という作品はもともと地道で根強いフォロワーからの人気で成り立っていた作品から、突如その突飛な台詞やジョジョ立ち等という側面的な売りと共に爆発的な人気の広がりを見せてしまった。

 

そんな中、ULTRAVIOLENCEはそのジョジョの奇妙な冒険という『商品』の販売権等の問題で所謂大手の商品の展開力や利幅なども含めた利益を生めるか、いかにジョジョの奇妙な冒険をビジネスとしてパッケージングできるか?という戦いにおいて負けてしまったのではないだろうかと僕は思わずにはいられない。

 

それでもなお、ULTRAからのリリースの可能性を信じたくて、ウェブで検索をかけていたときにこんなやり取りを発見した。

―Q,ぶっちゃけ『ultra Violence』のジョジョ関連の洋服って高すぎると思いませんか?
 Tシャツ一枚6000円はちょっと…

―A,ぶっちゃけ高いっす。足元見てますよね。それでも買ってしまう私。

そう、一枚6000円するULTRA VIOLENCEのTシャツは高く、足元を見ているらしい。ULTRA VIOLENCEがこのTシャツをいったい何枚生産していると思う?しかも、ULTRA VIOLENCEは基本的なスタイルとして受注生産というロスの少ない方法を取る中で。

 

このご時勢、物は君たちが想像している以上に作られていない。洋服で言えば大手の安物屋、例えば日本国内にて1200店舗も展開するファッションセンターしまむらですらも1柄のキャラクターTシャツのワンサイズ・ワンカラーを1200枚作ることはまずない。売れ方の傾向を見て、比較的需要の高い店舗にしか入れないからだ。天下のファッションセンターですら一つのTシャツを色・サイズ込の1型で200~300枚なんてザラなのだ。1200店舗も店を構えているというのに。

 

さて、そこで先ほどの問題だがこのULTRA VIOLENCEはしつこい様だが受注生産というロスの少ない方法で一体、1型何枚生産していたのだろうか?300枚作っていただろうか?(ULTRAのTシャツは一般的な小売店には商品をほとんど卸していない。)

 

もっと、Tシャツの話をしよう。ULTRAのTシャツはシルクスクリーンという技法をもってプリントされた製品だ。世の中のTシャツのプリントの大半はこの技法を用いてプリントされている。シルクスクリーンプリントは簡単に言うと版画のようなものでそのプリントを表現するためのカラーを1版、2版と重ねていくようにプリントする。

このシルクスクリーンだが1版につき、8000~10000円ほどかかる。お持ちのTシャツに何色使われているかによるが大抵は3~5色程度だろう。つまり、5色で50000円。これが製品の制作費に割返される。つまり100枚作っていれば1枚につき500円の割返しとなる。プリントの加工賃は工場にもよるだろうがプリント・その他仕上げの諸作業で300~500円。

さらにULTRAは国内で自社オリジナル企画のTシャツボディを生産している。大まかにだが国産のTシャツボディを染めから行う場合はTシャツ生地を反物で買い染めることになり、さらに国内の縫製工場で縫う。数量にもよるが1枚800~1200は間違いなく掛かるだろう。

ここまでで、このTシャツを作るために

・版下代割返し3色と仮定し 300円

・プリントほか作業賃400円

・Tシャツ あいだを取り1,000円

と、ここまでで1,700円かかることになる。

 

それと、忘れてはいけない一番重要な事はこれがコラボレーションだということ。ULTRAは荒木飛呂彦のプロダクションとの契約の上、商品の価格から5~10%程のロイヤリティ(ブランド使用料)を上納することになる。

つまり、6,000円上代の場合はおよそ300円~600円。ブランドロイヤリティが5%だとしても最終的な原価は2,000円近くとなる。

 

これに価格を設定するわけだが、物を作る上での基本としての原価率は30%。これは何を作るにしても生産の鉄則になってくるわけだが、これを先ほどの原価で逆算すると

2,000÷30%=6,666円

(先ほどのロイヤリティだがこの場合は333円となるのだが、めんどくさいのでこのまま書かしてもらいます。)

お分かり頂けたろうか。これでもULTRAが足元を見ている等というのだろうか。

Tシャツが2,000円で出来ているのだからもっと安く売れなどという愚鈍はもう一度生産と消費を考え直したほうが良い。

 

大してバンダイはどうか、すべて中国製の商品のバンダイのジョジョTシャツは。

確かに値段は安い。

中国でのTシャツボディは300も集まれば1枚400円程度、他のアイテムとの同時注文でもう少しはなんとかなる。(なによりも天下のバンダイ、その商品の卸先は相当なものになるだろう。)さらに中国製のしょぼいプリントだが不思議なことに中国には版下代と言う概念はなく加算されることがない。プリント代は1枚に付き150円程度。 もちろん為替や日本までの輸送賃、関税など多々あるが精々700円程度でなんとかなる。これに先ほどのロイヤリティ云々~が上乗せ3000円上代にて150円程度。

 

これを30%の原価の式に当てはめると上代は2,833円。バンダイもまた正当な商売ではあるのだ。

 

しかし、この違いを分からない消費者からすればULTRAは不誠実な企業で、バンダイこそが至高なのだろう。どちらも同じ利益率で叩き出した上代だ。

そこで致命的な問題はたった一つ、バンダイの商品は大衆向けのダサいデザインに、大衆向けのダサいサイジングな、中国製の安っぽい生地だという事だけ。問題はそれだけだ。

 

だいぶ話がずれてしまったが

こうしてビジネスになった瞬間にジョジョのアパレルアイテムはジャスコで売られているTシャツに石仮面を突っ込んだようなゴミになった。もちろん、ULTRAも食っていく為の金儲けだ、ビジネスはしていたがデザインや品質はジョジョへの愛で溢れていた。すくなくとも僕にはそう見えた。

 

知識の無い無学の為にこの世の中はレベルを下げざるを得ない。昨今、コスパコスパと騒いでいる卑しい人間が多い中、賢いふりをし、講釈垂れる先生方の何割がこの実情を理解しているのだろうか。

こうして物事は簡潔に糞になっていく。